胃がん患者 事例紹介 看護過程 ゴードンの11パターンによる看護過程付き!

胃癌の診断を受け幽門側胃切除(ビルロートI法)を受けることになったAさん

Aさん(男性・57歳、会社員・課長)

診断:進行胃癌

既往歴:54歳より高血圧を指摘され内服治療継続中。

入院目的:胃癌の手術療法

家族構成:本人と長男(独身、コンビニのアルバイト)の2人暮らし。長女:別居、既婚(保育士)、次男:別居、独身(警備員)。

家族歴:3年前に妻を癌で亡くしている。

性格:自分で何でも抱えてしまう性格で物事を否定的に捉えがち(長男より)

趣味:釣り・ゴルフ

生活習慣
食事)朝:トースト、ブラックコーヒー
   昼:社員食堂で日替定食。
   夜:コンビニ弁当、缶ビール(500ml)
   ※早食いである。
嗜好)たばこ:20歳より20本/日。先週より禁煙中。お酒:缶ビール(350ml)/日。
睡眠)起床:6時、就寝:22時。寝付きはよい。
排泄)排尿:6回/日。最近夜中にもトイレに行くことがある。
排便)毎日あり。最終1月1日

患者の疾患に関する情報

現病歴:半年前から心窩部に時々軽い痛みがあった。12月4日、上部消化管の造影検査と胃内視鏡検査を受け、胃前庭部小弯に潰瘍性病変あり。病理組織の結果、高分化型の腺癌、深達度は筋層まで達しているが遠隔移転はなし。12月25日、本人に告知し手術の説明を行った。

病気の受け止め方
[医師からの説明]
進行癌です。内視鏡と開腹で胃を切除する方法がありますが、Aさんの場合は開腹して胃切除する法がいいと考えています。開腹して幽門側胃切除(ビルロートI法)の予定となります。1月1日入院、1月2日手術予定です。

[本人]
S:「内視鏡では難しいのですね、少し怖いですけど・・・分かりました。妻を癌で亡くしていて悪い所はしっかりと取って下さい。」





入院時の状態

身体状況:身長:170㎝、体重60㎏→57㎏(3カ月)
     体温=36.4℃ 脈拍=70回/分(リズム不整なし)
     呼吸=19回/分 血圧=138/88mmHg SpO2=99%
     食欲普通、心窩部が時々痛むが我慢できる程度、嘔気なし。 
     最近やや疲れる感じがあった。

血液検査:WBC6000/μ1 RBC370万個/m㎥ Hb11.2g/bl Ht35.2%
     PLT33.4% TP6.5/dl ALB3.8g/dl BUN19㎎/dl Cre1.0mg/dl
     AST37IU/l ALT28IU/l

呼吸機能検査:1秒率:80%(1秒率(FEV1.0%):努力肺活量の何%を1秒間に呼出することができるかを表す)

胸部Ⅹ線写真:異常なし。

心電図:異常なし。


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治療

手術療法:1月1日 幽門側胃切除術

[手術内容]
  • 硬膜外カテーテル挿入(第10~11胸椎間)
  • 経鼻胃管カテーテル挿入
  • 膀胱留置カテーテル挿入
  • 幽門側胃切除術(全身麻酔下・開腹)ビルロートI法で再建
  • ウインスロー孔ドレーン挿入
  • 麻酔時間:4時間10分
  • 手術時間:3時間55分
  • 術中輸液量:1350ml
  • 術中尿量:190ml
  • 出血量:49ml

1月3日(術後1日目)
予定道り、酸素投与中止、胃管カテーテル抜去。


受け持ち時の情報収集(術後6日目の1月8日より受け持つ)

術後の状態


ウインスロー孔ドレーンは出血量も少なく今朝抜去。創部からの出血は見られていない。硬膜外カテーテル(痛み止め)は1月6日の朝抜去。硬膜外カテーテル抜去後の疼痛はNRS7まで上昇し、約8時間の間隔で痛み止めを使用して疼痛コントロールしている。痛み止めでNRS4程度まで軽減。鎮痛薬:ボルタレン座薬50㎎
S:「薬にあまり頼りたくないけど、こんなに痛いとは思わなかった。」

1月3日(術後1日目)
胸部レントゲン:無気肺所見なし。
腹部レントゲン:問題なし。

1月7日(術後5日目)血液検査
WBC10200/μ1 RBC331万個/m㎥ Hb10.1g/dl Ht31.8% PLT30.1% CRP5.5mg/dl TP5.5/dl ALB3.1g/dl BUN21㎎/dl Cre1.4㎎/dl AST40IU/l ALT521IU/l

1月8日(術後6日目)
体温37.3℃、脈拍80回/分(リズム不整なし)、呼吸20回/分
血圧148/90mmHg、SpO2=94%、肺の副雑音なし、チアノーゼなし、咽頭部に痰がからむと呼吸しづらい様子あり。
S:「痰がからむけど、傷にひびくので痰が上手く出せない。」
去痰剤入りの吸入施行。
吸入後、自己にて白色痰喀出少量あり。SpO2=96~97%






栄養・水分

術後から末梢輸液2000ml/日実施。1月8日まで実施予定。


1月6日(術後4日目)
透視検査確認にて問題なく、昼より飲水開始となる。
翌日(1月7日)朝食より食事開始

流動食:2日間(1月7日~1月8日)
以後分割食で2日間ずつ変更。
3分粥食、5分粥食、7分粥食、全粥食、常食まで。
※5分粥食より、おやつ3回付き

1月7日(術後5日目)
朝食、昼食ともに3割、夕食1割摂取、食後嘔気、腹痛はないが、満腹感あり。
S:「初めての食事で少し怖いです。お腹も空いてないのであまり食べたくないです。」
S:「食べないといけないと思っていますが、少し食べるとお腹がいっぱいになります。」
水分)食事中にお茶をコップ1/2杯程度摂取している。
皮膚、口径の乾燥は認めず。

1月8日(術後6日目)
朝食は食欲なく2割程度。
S:「まだお腹が空かないです。食べる気になれない。」


排泄   

[排尿]
術後3日目までの尿量:1500~1800ml/日。

1月4日(術後2日目)に尿道カテーテル抜去し、尿器・病室内のトイレにて排泄。

排尿回数:8~10回/日(夜間排尿1~2回)
痛みがあるため移動はゆっくりと自分のペースで動かれる。
黄色尿、混濁なし、残尿感なし。
S:「動くと傷が痛んで辛いですね、あまり動きたくないです。」

[排便]
1月5日~7日と排ガスはあるが排便は認めず。本日も排ガスのみ。
腹部腸蠕動音微弱、腹部膨満感ややあり、腹部はやわらかい。
S:「なかなか便が出なくてすっきりしません。食べてないし、動いてないからでませんよね。」




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活動

1月3日(術後1日目)は痛みが強く座位になるとS:「頭がボーッとする」という訴えもあり離床進まなかった。

2日目より病室内のトイレまで離床するが、動くと痛みが増すようで、トイレと洗面以外は動いていない。病棟内の歩行を促され、1月6日より病棟内を少しずつ歩行しているが、日中はテレビを見るか読書をして過ごす事が多い。個室の為、現在は他患者との交流はない。

S:「看護師さんに動いてと言われるけど痛がりで、あまり動きたくないです。」


清潔

術後は毎日清拭を実施。発汗軽度あり。
術後洗髪は実施していない。頭髪の汚染がみられるが、痒みの訴えはなし。
S:「髪はベトベトするし洗いたいけど、動くときついし、1人じゃできない。」
毎食後、病室内の洗面所で歯磨きを実施。

睡眠

夜間訪室すると覚醒する。眠剤は服用せず。
S:「あまり眠れないけど、睡眠薬は飲みたくない。」
術後は午後よりウトウトし、眠っている様子が時々みられる。
S:「夜は痛くてあまり眠れなかったです。でも昼間に寝ているから大丈夫。」

認知・知覚

術後の受け答えしっかりしている。
術後疼痛:上記

家族関係

手術当日は長男の付き添いあり。手術の説明も長男が一緒に聞いている。
長男は仕事をしているため、夜短い時間であるが毎日面会にきている。
長男は本人と2人暮らしで、父親の心配性な性格を心配している。
長女、次男は仕事があるようで週末にしか来ることはできないようであるが
本人とは電話で連絡を取っており、関係性は良好のようである。
妻は3年前に癌で亡くなっている。生前は旅行が二人の共通の趣味で、
よく出かけていた。
     
長男S:「父は心配性ですが、あまり他人に気持を言わない人です。昨年母を癌で亡くしたばかりで、不安もあると思いますのでよろしくお願いします。」   

 

自己知覚

S:「思った以上に痛みがあります。」
S:「仕事を部下に任せていますが、やっぱり心配です。」
S:「手術しても癌だから良くなるか分からない不安があります。」
S:「妻の時はとても可哀想だった。癌は怖いです。」
S:「良くなりたいけど、今はあまり気持ちが前向きになれない。」

セクシャリティ

夫婦仲は良好であったが、3年前に癌で妻を亡くしている。
3人の子供をもうけている。

生活原理

信仰宗教はなし。

S:「妻が亡くなってからは、仕事が趣味のような生活になっています。」

長男S:「母を亡くしたことは辛い経験であったようである。母が亡くなった後は仕事が生きがいのような生活をしていて、休みの日は家に居ることが殆どで、気力をなくしているようです。」




  • 最終更新:2018-03-02 21:56:26

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